International Press-in Association
国際圧入学会オンラインコミュニティーサイト

圧入工学‐理論と実践を融合した実証科学アプローチで、地中の真実の解明に挑む

IPAの概要

設立趣意

  • 2006年11月6日発行

「圧入工法」は「圧入原理」に基づき、反力を基調として静荷重により杭を土中に押し込む工法である。この工法では、施工中の杭の挙動を検証しながら設計通りの杭を構築することができる。それは環境への負荷を最小限に抑えた地球にやさしい施工技術である。

圧入原理はその学問的体系の構築に先んじて、日本の(株)技研製作所により施工現場において圧入工法として実用化された。同工法はその原理的優位性から、打撃・振動・削孔といった機構そのものにマイナス要因を含む他工法と一線を画している。圧入原理の優位性によって他工法では得られない最良の杭を構築することができる上、杭打設における騒音や振動を中心とした建設公害を一掃することに成功した。

また、杭の連続による壁体を構造物の本体壁に利用する等、新分野を拓いた。

さらに圧入原理は「GRBシステム」として、「サイレントパイラー」(圧入機)、「クランプクレーン」(吊込み装置)、「パイルランナー」(搬送装置)など全ての作業用機械が、既に圧入された完成杭上を基盤として自走しながら作業を進めるシステム工法に結実した。この工法は資源の浪費の象徴である仮設工事が不要な上、新規構築の逆工程を辿れば撤去作業になり、構築物を「永久構造物」でなく、「機能構造物」と捉える画期的な考え方を可能ならしめた。その後も、圧入原理と圧入工法は、数々の新技術の開発を積み重ね、「環境の21世紀づくり」に貢献する技術として確立された。

一方、杭に関する学術的探究においては、土質工学や地盤工学の分野において、様々な土圧論や支持力理論が提唱され、7000件近い学術論文が発表されているものの、いまだにその多くは、杭に対する打撃エネルギーから杭の支持力を推定するという方式に頼っており、施工中の土粒子の挙動や杭にかかる応力を実証的に測定した上での理論ではない。その帰結として、研究対象も打設後の杭と完成後の基礎の支持力に集中せざるを得ず、杭貫入メカニズムや杭の挙動は予想の範囲に止まり、設計段階で大きな安全率を見込まざるを得ないのが実情である。

静荷重を利用する圧入工法では、静的な地盤に対し動的に貫入していく杭の挙動を制御することができ、先端支持力と周面摩擦抵抗力を実証的に分離できるなど、これまで至難であった杭貫入メカニズムの工学的解明を可能とした。学問分野として発展の余地は大きい。

こうした中、(株)技研製作所代表取締役社長である北村精男は、圧入原理に関する40年以上にわたる経験と同社が蓄積した豊富なデータを基に、「圧入施工要項」という理論体系を創り上げた。これは、杭の圧入に関する施工現場サイドからの業績である。我々は、この業績を基にさらに歩を進め、土質や地盤と杭の関係について解明することを次の学問的課題としていく。上述のように、この分野は圧入工法以前の打設工法に基づいた理論が主流となっており、充分な解明がなされていない。何百億円、何千億円という建設物の構築でも、その基礎工事は係数や換算値を主体として計画されたもので施工されている、それが実態である。

但し、近年ではこの分野において圧入工法を前提とした研究も進んでおり、研究所や大学における実験データも蓄積されつつある。しかし、いずれも規模の小さい実験によるデータであり、施工現場における実際のデータと理論的融合を図っていく必要がある。このような学問的な実験と現業における実証の融合を、産学協同体制の中で推進し体系化していくことが急務となっている。

その先陣を切り、英国のケンブリッジ大学工学部と(株)技研製作所は、1994年に圧入原理の学問的解明を目指した共同研究プロジェクトをスタートさせた。これまで施工現場で蓄積された経験とデータに学術的な裏付けを獲得しつつ、杭貫入メカニズムを理論的に解明することにより、土質工学・地盤工学や施工機械、環境問題等、圧入と関連する他分野との協調関係をより確かなものへと発展させることを目的としている。

以来13年間、マルコム・ボルトン教授の指導の下で、ケンブリッジ大学工学部は共同研究プロジェクトに参画し続けている。2006年からはこのプロジェクトに高知工業高等専門学校も参画している。こうした中、2002年にはケンブリッジ大学に圧入工学博士号取得者が誕生、また、(株)技研製作所の社員も2004年に博士号を取得、さらに、(株)技研製作所と東京大学の二つの研究室との提携による研究も進行中であり、圧入杭の研究は着実な広がりをみせている。

また、こうした考え方を一層推進するため、北村精男、マルコム・ボルトン教授、岡村甫高知工科大学学長の3名が発起人となり、「国際圧入学会創設準備委員会」が発足した。2005年9月9日には、高知工科大学にて「国際圧入学会創設準備会」が執り行われ、土木・地盤工学分野の国際的な学識者約30名が参加した。翌週、大阪で開催された第16回国際地盤工学会議の折にも、国際圧入学会創設準備委員会がレセプションを開催、世界各国から多数の参加を得た。国際圧入学会創設準備委員会は、これらの催しに参加してくださった世界各国の学術研究者から得た強い支持と貴重なご意見に深く感謝するものである。

新しい世紀を迎え、過去に残している問題の解明や実証を行い、新奇性・発明性のある新しい切り口からの問題解決や新しい基準作りが強く望まれている。我々は、建設業における環境問題を克服し、建設の基である「基礎」の分野において確固たる理論を構築し、真に国民の視点に立った建設工事を実現するため、圧入原理の学術的探究と普及・推進を目的として、ここに「国際圧入学会(IPA)」の設立を提唱する。

我々国際圧入学会創設準備委員会は、上述の実績と結果を踏まえ、本状を世界の学術研究者の諸氏に送り、国際圧入学会への参加を呼びかけるものである。この設立趣旨にご賛同頂ける方は、IPA秘書宛てにeメールされたい。ご連絡を頂いた方には、当委員会よりIPAの枠組み(定款、将来の会議やワークショップの予定、国際圧入学会の行なう学術研究への援助内容、IPAウェブサイト等の情報を含む)を追って連絡申し上げる。

なお、IPAの設立総会は2007年2月15日(木)、16日(金)に英国ケンブリッジ大学で行なう予定であり、各位のご来臨を歓迎する。また、この設立総会に合わせて、圧入に関する研究の助成を行なう予定であり、別紙に募集要綱を掲げるので、奮ってご応募をお願いしたい。

世界各国の個人、学生、法人で、本件の趣意にご賛同を頂ける各位の参加を心から歓迎するものである。

国際圧入学会創設準備委員会

  • 北村 精男
    株式会社 技研製作所 代表取締役社長
    (写真中央)
  • マルコム・ボルトン
    ケンブリッジ大学 教授
    (写真左端)
  • 岡村 甫
    高知工科大学 学長
    (写真右端)
IPA創設準備委員会メンバー